Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
その頃、大阪の主な川筋に巡航船が通った。
俥など及びもつかぬ速さで、おまけに料金もやすく、切符に景品をつける時もあって、自然俥夫連中は打撃をうけ、俥に赤い旗を立てて、巡航船の乗場に頑張り、巡航船に乗ろうとする客を、喧嘩腰で引っ張ろうとしてかなわぬ時は巡航船へ石を投げるという乱暴もはたらいたが、他吉はそんな仲間にはいらず「ベンゲットの他吉」を売り出そうとせなんだ。
もっとも、朋輩との客の奪い合いには、浅ましいくらい厚かましく出て、さすがに「ベンゲットの他あやん」の凄みを見せ、その癖酒は生駒に願掛けたといって一滴ものまず、なお朋輩に二十銭、三十銭の小銭を貸すと、必ず利子を取った。
次郎ぼんに貰った夕刊を一銭で客に売りつけることもあり、五厘のことで吠えた。
ある夏、角力の巡業があった。
横綱はじめ力士一同人力車で挨拶まわりをすることになったが、横綱ひとり大き過ぎて合乗用の俥にも乗れず、といって俥なしの挨拶まわりも淋しいと考えた挙句、横綱の腰に太い紐をまわし、その紐を人力車二台にひかせて、横綱自身よいしょよいしょと練り歩いて、恰好をつけ、大阪じゅうを驚かせた。