Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
玉堂はそのことを言ったのだが、しかし彼が赧くなったのは、ちかごろ彼は用事もないのに朝日軒の奥座敷へちょくちょく出かけているからであった。
玉堂が行くと、義枝はおどおどして、お茶をもって来た。玉堂はまだ三十二歳、朝日軒の末娘は二十歳で、玉堂の顔を見ると、ぷいと顎をあげて、出て行き、彼はちょっと寂しかった……。
それを想い玉堂は赧くなったが、すぐもとのにやにやした顔になると、
「いったい乗せたのか、乗せなかったのか、どっちなんだね?」
と、言った。
「それ訊いて、どないするちゅうネや」
さからっていると、もう炬燵のなかに、はいっていた君枝が、むっくり起き上って、
「三味線もったはるおばちゃんやったら、乗らはった、乗らはった」
と、言った。
「そやったかな。よう覚えてるなあ」
他吉が言うと、君枝は、
「そら覚えてる。うしろから随いて走ってるわてが可哀想や言うて、どんぐり(飴)くれはったさかい」
いつにないはきはきした声だった。
「それじゃ、やっぱり、そうだったのか」
玉堂は大袈裟にうなずいて、
「――実は他あやん、その婆さんというのが、僕のいる館(こや)の伴奏三味線を弾いている女でね」