Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 93.840 Zeichen · 186 Bildschirme
そんな気性ゆえ、種吉は年中貧乏し、毎日高利貸が出はいりした。百円借りて、三十日借りの利息天引きで、六十円しかはいらず、日が暮れると、自転車で来て、その日の売り上げをさらって行った。俗にいう鴉金だ。
種吉は高利貸の姿を見ると、下を向いてにわかに饂飩粉をこねる真似したが近所の子供たちも、
「おっさん、はよ牛蒡(ごんぼ)揚げてんか」
と、待て暫しがなく、
「よっしゃ、今揚げたるぜ」
と言うものの、摺鉢の底をごしごしやるだけで、水洟の落ちたのも気附かなかった。
種吉では話にならぬから、路地の奥へ行きお辰に掛け合うと、彼女は種吉とは大分ちがって、高利貸の動作に注意の眼をくばった。催促の身振りがあまって、板の間をすこしでも敲いたりすると、お辰はすかさず、
「人の家の板の間たたいて、あんたそれで宜しおまんのんか」
血相かえるのだった。
「――そこは家の神様が宿ったはるとこだっせ」
芝居のつもりだが、矢張り昂奮して、声に泪がまじるくらい故、相手は些かおどろいて、
「無茶言いなはんな。なにもわては敲かしまへんぜ」
むしろ開き直り、二三度押問答の挙句、お辰は言い負けて、素手では帰せぬ羽目になり、五十銭か一円だけ身を切られる想いで渡さねばならなかった。