Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.869 Zeichen · 52 Bildschirme
」
「マニラ? なんとまた遠いとこで……。」
「マラソンの選手だしたが……。」
「なんとなア、可哀相に。そいでなにかいな、娘はんちゅうのは子たちが……?」
「まあ、おまっしゃろ。」
すすりあげながら言うと、
「まあ、おまっしゃろや、あれへんぜ。男の子オか。」
「それがあんた、未だ生れてみんことにゃ……。」
新世界の寄席の前で客を降ろすと、他吉はそのまま引きかえさず、隣の寄席で働いている娘の初枝を呼び出した。初枝は二十三歳、妊娠していると、一眼でわかった。
他吉はあわてて眼をそらし、物を言わず歩きだすと、初枝は前掛けをくるりと腹の上へ捲きつけて、随いて来た。
活動小屋の絵看板がごちゃごちゃと並んだ明るい通を抜けると、道はいきなりずり落ちたような暗さで、天王寺公園であった。
樹の香が暗がりに光って、瓦斯灯の蒼白いあかりが芝生を濡らしていた。美術館の建物が小高い丘の上にくろぐろと聳え、それが異郷の風景めいて、他吉は婿の新太郎を想った。
白いランニングシャツを着た男が、グランドのほの暗い電灯の光を浴びて、自転車の稽古をしている。それが木の葉の隙間から影絵のように蠢いて見えた。