Japanische Klassiker mit Furigana
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わがまち
わが町
織田 作之助
Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.869 Zeichen · 52 Bildschirme
ところが、君枝は笑わず、
「わいの落語おもろないのか。」
と〆団治はがっかりして、「ええか。この落語はな、無筆の片棒いうてな、わいや他あやんみたいな学のないもんが、広告のチラシ貰て、誰も読めんもんやさかい、往生して、次へ次へ廻すいうおもろい話やぜ。さあ、笑いんかいな。」
「わてのお父ちゃんやお母ちゃん何処に居たはるねん。」
「こらもう、人情噺の方へ廻さして貰うわ。」
日が暮れて、〆団治が寄席へ行ってしまうと、君枝はとぼとぼ源聖寺坂を降りて、他吉の客待ち場へ、しょんぼり現れ、家で待ってんかいなと他吉がなだめても、腋の下へ手を入れたまま、他吉をにらみつけ、いつまでも動かなかった。
「そんなとこい手ェ入れるもんやあれへん!」
すると、手を出して、爪を噛むのだ。他吉はがっかりして子供のお前に言っても判るまいがと、はじめて小言をいい、
「お前はよそ様の子供衆と違て、ふたおやがないのやさかい、余計……。」
行儀よくし、ききわけの良い子にならねばならぬ、あとひとり客を乗せたら、すぐ帰る故、「先に帰って待って……」いようとは、しかし、君枝はせなんだ。他吉は半分泣いて、
「そんなら、お祖父やんのうしろへ随いて来るか。