Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

わがまち

わが町

織田 作之助

Lesen Sie わが町 (わがまち) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.869 Zeichen · 52 Bildschirme

Aozora Bunko

そんな君枝の心は、しかし他吉は与り知らず、七月九日の生国魂神社の夏祭には、お渡御の人足に雇われて行くのである。重い鎧を着ると、三十銭上りの二円五十銭の日当だ。

「もう良え加減に、鎧みたいなもん着るのん止めときなはれ。私拝むさかい、あんな暑くるしいもん着んといて。」

君枝が半泣きで止めても、他吉は、

「阿呆らしい。去年着られたもんが、今年着られんことがあるかい。暑いいうたかて、大阪の夏はお前マニラの冬や。」

と、その方に廻るのだ。

丁度その日は公休日で、よりによってこんな日にぶらぶらしていることが、君枝はなにか済まぬ気がして、お渡御など見る気がせず、家を出た足でせかせかと下寺町の坂を降りると、自然千日前の電気写真館の方へ向いた。

もとあった変装写真や歌舞伎役者の写真がすっかり姿を消して、出征の記念写真が目立って多くなっているなかに、どうした奇蹟か、二十年前のマラソン競争の記念写真が、三枚一円八十銭の見本だと、値だけ高くなって陳列されているのを、なつかしそうにまるで陳列ガラスを舐めんばかりにして、瞶ていると、

「お君ちゃん、――と違いますか。」

と、声をかけられた。