Japanische Klassiker mit Furigana
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イグアノドンのうた
イグアノドンの唄
中谷 宇吉郎
Lesen Sie イグアノドンの唄 (イグアノドンのうた) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.469 Zeichen · 21 Bildschirme
深海探測といっても、調べ得るところは、海の面積から見たら問題にならない。大洋の唯中、その深所には、何が棲んでいるか、人間の想像の及ぶところではない。その一番良い例としては、先年南アフリカの海底から、少くも五千万年以上、多分一億年くらいの太古の怪魚が、本当に生きた姿で出現した異常な事件を挙げるべきであろう。
それは昭和十三年十二月二十二日のことであった。即ち日華事変が最高潮に達していた頃の話である。英領南アフリカ喜望峰の近くに、東倫敦という小さい漁港がある。その西方数哩の海底から、トロール網にかかって、不思議な魚が揚って来た。全体長一米半、目方七十五瓩の大きい魚で、全身は青色に輝いた金属光沢を帯び、魚体は脂ぎってぴかぴか光っていた。頭は西洋兜のような形をし、胸及び腹の鰭は、赤児の腕の先に羽がついたような怪異な恰好になっている。更に著しい特徴は、脊柱がずっと尾鰭の真中をつき抜けて伸び出ていることである。如何にも古色蒼然として、一見古代生物の異風をそなえた曲者であった。この怪魚こそは、中生代の白堊紀、即ち少くも五千万年以上の太古において、既に地球上からその姿を消していた、総鰭魚類の空棘魚科に属する化石魚であったのである。