Japanische Klassiker mit Furigana
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カインのまつえい
カインの末裔 クララの出家
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme
彼れと馬と妻とは前の通りに押黙って歩いた。歩いては時折り思い出したように立停った。立停ってはまた無意味らしく歩き出した。
四、五町歩いたと思うと彼らはもう町はずれに来てしまっていた。道がへし折られたように曲って、その先きは、真闇な窪地に、急な勾配を取って下っていた。彼らはその突角まで行ってまた立停った。遙か下の方からは、うざうざするほど繁り合った濶葉樹林に風の這入る音の外に、シリベシ河のかすかな水の音だけが聞こえていた。
「聞いて見ずに」
妻は寒さに身をふるわしながらこううめいた。
「汝聞いて見べし」
いきなりそこにしゃごんでしまった彼れの声は地の中からでも出て来たようだった。妻は荷をゆりあげて鼻をすすりすすり取って返した。一軒の家の戸を敲いて、ようやく松川農場のありかを教えてもらった時は、彼れの姿を見分けかねるほど遠くに来ていた。大きな声を出す事が何んとなく恐ろしかった。恐ろしいばかりではない、声を出す力さえなかった。そして跛脚をひきひきまた返って来た。
彼らは眠くなるほど疲れ果てながらまた三町ほど歩かねばならなかった。そこに下見囲、板葺の真四角な二階建が外の家並を圧して立っていた。