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Japanische Klassiker mit Furigana

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カインのまつえい

カインの末裔 クララの出家

有島 武郎

Lesen Sie カインの末裔 クララの出家 (カインのまつえい) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.864 Zeichen · 93 Bildschirme

Aozora Bunko

それは悲しさの涙でもあり喜びの涙でもあったが、同時にどちらでもなかった。彼女は今まで知らなかった涙が眼を熱くし出すと、妙に胸がわくわくして来て、急に深淵のような深い静かさが心を襲った。クララは明かな意識の中にありながら、凡てのものが夢のように見る見る彼女から離れて行くのを感じた。無一物な清浄な世界にクララの魂だけが唯一つ感激に震えて燃えていた。死を宣告される前のような、奇怪な不安と沈静とが交る交る襲って来た。不安が沈静に代る度にクララの眼には涙が湧き上った。クララの処女らしい体は蘆の葉のように細かくおののいていた。光りのようなその髪もまた細かに震えた。クララの手は自らアグネスの手を覓めた。

「クララ、あなたの手の冷たく震える事」

「しっ、静かに」

クララは頼りないものを頼りにしたのを恥じて手を放した。そして咽せるほどな参詣人の人いきれの中でまた孤独に還った。

「ホザナ……ホザナ……」

内陣から合唱が聞こえ始めた。会衆の動揺は一時に鎮って座席を持たない平民たちは敷石の上に跪いた。開け放した窓からは、柔かい春の光と空気とが流れこんで、壁に垂れ下った旗や旒を静かになぶった。