Japanische Klassiker mit Furigana
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ひきょうもの
カインの末裔
有島 武郎
Lesen Sie カインの末裔 (ひきょうもの) von 有島 武郎 (ありしまたけお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.876 Zeichen · 52 Bildschirme
それは懇ろというよりもしちくどいほど長かった。監督はまた半時間ぐらい、黙ったまま父の言いつけを聞かねばならなかった。
監督が丁寧に一礼して部屋を引き下がると、一種の気まずさをもって父と彼とは向かい合った。興奮のために父の頬は老年に似ず薄紅くなって、長旅の疲れらしいものは何処にも見えなかった。しかしそれだといって少しも快活ではなかった。自分の後継者であるべきものに対してなんとなく心置きのあるような風を見せて、たとえば懲しめのためにひどい小言を与えたあとのような気まずい沈黙を送ってよこした。まともに彼の顔を見ようとはしなかった。こうなると彼はもう手も足も出なかった。こちらから快活に持ちかけて、冗談話か何かで先方の気分をやわらがせるというようなタクトは彼には微塵もなかった。親しい間のものが気まずくなったほど気まずいものはない。彼はほとんど悒鬱といってもいいような不愉快な気持ちに沈んで行った。おまけに二人をまぎらすような物音も色彩もそこには見つからなかった。なげしにかかっている額といっては、黒住教の教主の遺訓の石版と、大礼服を着ていかめしく構えた父の写真の引き延ばしとがあるばかりだった。