Japanische Klassiker mit Furigana
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カストリこうじつろく
カストリ侯実録
久生 十蘭
Lesen Sie カストリ侯実録 (カストリこうじつろく) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.619 Zeichen · 31 Bildschirme
この瓢逸な脱出を計画したのは、そのとき六十歳だった前海軍相シャルル・ド・カストリ侯爵だった。奇異な運命を辿った八七二人の皇帝の最後を調べあげた奇書、「皇帝の行方」という著述もある一風変った剛腹な老貴族だが、シモンが太子の専任監視人になると、硬貨百万法で買い落し、ル・サンルウと雑役のミシュウは、家作、牛舎付の農地二百アルパンと一万五千リーヴルの年収のある国庫証券で買い潰した。
使丁長と雑役は、生涯を安楽に暮すだけのものを貰い、あぶなくなったら身体一つで落ちて行くつもりで家族は貰った土地へ片付けておくという抜目のなさであったが、シモンの細君は細君でシモンを裏切り、かねて人知れず単独の活動をしていたらしく、シモンが断頭台に上った後、ジロンド党の議員七十二名が国会へ復帰した十二月八日の前夜、余命いくばくもない聾唖の浮浪児を身代りに置き、シモンの子供とも知らずにバスケットに入れて運びだした。その月の十九日、ミショウ、ラチュウ、ルベルションの三人の議員がタンプルを訪問して見た太子というのはこの子供だったのである。
太子はル・サンルウに連れられて英国へ行き、そこで侯爵と落ちあった。