Japanische Klassiker mit Furigana
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カンカンむしさつじんじけん
カンカン虫殺人事件
大阪 圭吉
Lesen Sie カンカン虫殺人事件 (カンカンむしさつじんじけん) von 大阪 圭吉 (おおさかけいきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.237 Zeichen · 21 Bildschirme
只、もう息の通っていない、そろそろ虫の湧きかかりそうな、或は又、数日間水浸しになっていたとか言う様な屍体では、そう言う事も信じられる。で、この考え方からして、最も妥当な順序を立てて見ると、先ず最初被害者は、鋭利な刃物で心臓を一突きに刺されて絶命する。次に後手に縛り挙げられ、重を着けられて海中へ投げ込まれる。茲で暫く時間を置いて、次にあの致命的な打撲傷と恐るべき擦過傷が幾分柔かくなった肌へ加えられる。茲で面白い証拠を僕は見ておいたよ。後手に縛られた両腕の表側には擦過傷があるが、腕の後側や腕の下に当る胸の横から背中の一部へかけては、衣服の綻びさえも見られない事だ。次に、あの黒い機械油のシミだが、溶け加減と言い、染み工合と言い、確かに暫く水浸しになっていたに違いはないが、凡ての傷の一番最後から着いたものなんだ。何故ってあの油は、背中の上部の上衣から、綻びの中のジャケットや擦り破れた肌の上まで、そして縛られた麻縄の表側へまでも、ひっこすった様に着いていたからね。さあ、これで一通りこの方は済んだ積りだ。ひとつ、これから殺人の現場を調べて見ようじゃあないか。