Japanische Klassiker mit Furigana
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ガラマサどん
ガラマサどん
佐々木 邦
Lesen Sie ガラマサどん von 佐々木 邦 (ささきくに) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 99.079 Zeichen · 202 Bildschirme
自動車の中は略対等だったが、新邸に着くと大将と一兵卒の関係に戻った。私は応接間へ通されたきり、二時間近く待たされた。尤も女中がお茶を代えに来て、
「唯今御入浴中でございます」
と報告した。次に、
「唯今電気按摩をかけていらっしゃいます」
とあった。
「唯今血圧を計っていらっしゃいますから、もう直ぐでございます」
と五杯目のお茶が出てから間もなく、
「何うぞ此方へ」
ということで、食堂へ案内された。社長は和服に着替えて、夕刊を読んでいた。
「やあ」
「お邪魔を申上げます」
「何あに、一向構わんよ」
と好い気なものだ。御大将として長年修業を積んでいるから、人を待たせることが些っとも苦にならない。
「さあ。何もないけれど」
「恐れ入ります」
と私は相対して大きな食卓についた。広い西洋間でガランとしている。
「男鰥だから、生憎と御接待が出来ない」
と社長が沈んだ調子で言った。去年奥さんを失って、もう後を貰わない。これには、
「貰いたくても、あんな爺さんのところへ来るものはあるまい」
と貶すものもあれば、
「いや、社長の成功は半ば奥さんの内助による。それを忘れないから、病中も実に大切にしたそうだ。