Japanische Klassiker mit Furigana
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ガルスワーシーのいえ
ガルスワーシーの家
岡本 かの子
Lesen Sie ガルスワーシーの家 (ガルスワーシーのいえ) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.123 Zeichen · 18 Bildschirme
宮坂にそんな功利的な意図を以って見られたとも知らず、飽まで単に東洋の神秘的の座興相手に擬せられたと信じて居るガルスワーシーは冷たくなった手を上衣のポケットへちょっと挟み込んで、其処で自国の神秘主義に就いての挿話を述べた。
――此の国ではコナンドイルがスピリチュアリズムに凝っていましたが。彼は私の妻の前身は土耳古のサルタンだって言って居ました」
――ほ ほ ほ ほ」
今度は此方が呆れて返事も出来ずに居る二人の日本人の前で、夫人は軽い座興の復讐のような笑い声を立てた。いつか白茶地に銀朱の色のはいった上着を羽織って居た夫人は今までよりもずっと上品に見えた。
二人は訣れを告げてガルスワーシー家の門を出た。宮坂は黙って来た時の道を歩いて居たが景子の家に近いだらだら坂の途中まで来た時急に足を止めて言った。
――ジョン・ガルスワーシー…………あんな普通の手を持っていても文豪になれるんだなあ。彼は確かに金は溜まっているね」
そして斜に丘へ射し渡る秋の夕陽の寂光にすかして彼はあらためて自分の掌を見入るのであった。