Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.361 Zeichen · 27 Bildschirme
「そうか」
キャラコさんは、情けない声を、だす。
「あたし、困ってしまいましたわ」
長六閣下が、おだやかに、うなずく。
「それは、困るだろう」
「あたし、かくべつこんなお金、欲しくないのよ。……それに、あまり多すぎるようですわ」
「それは、そうだ。……しかし、いずれこうなることはわかっていたのだから、覚悟はあったはずだ。なんで、そんなに周章える」
「でも、あまりとつぜんなので、咄嗟にどう考えていいかわかりません。……あたしには、こんなたいへんなお金、とても、うまく使えそうにはありませんわ」
「失敗ってみるのもよかろう。初めからうまくはゆくまい」
「ねえ、お父さま、ともかく、これをどうすればいいのでしょう」
「そんなことは、自分で考えなさい」
「教えていただけません」
「教えてやってもいい。しかし、たいして役にも立つまい?」
「でも、どうぞ」
「自分で使おうと思うから迷いが起きる。他人に使われると思いなさい。だいたい、その辺へ精神をすえて置けば、たいして間違った使い方もせずにすむだろう」
長六閣下は、のほうへ向きなおって、靫から矢を抜き出す。
キャラコさんは、スゴスゴとじぶんの部屋へ戻って来た。