Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.767 Zeichen · 54 Bildschirme
キャラコさんは眠っていたのではなかった。いつものように食卓の上に蝋燭を立てて、せっせと鉱物学の常識を養っていた。入口の扉のほうで何か重いものが倒れたような音がしたので、そっと出て来てみるとこの始末だった。
キャラコさんは、たいへん沈着だった。
額に手をあてて見ると、たいして熱はなかったが、もし、脳溢血で倒れたのでもあったら、へたに動かしたらたいへんなことになると思って、そのままそっと床に寝かしたまま、しずかに、三人を呼び起こした。
「すみませんけど、ちょっと、起きてちょうだい」
三人は、すぐ眼をさました。が、キャラコさんがいつもと変わらないようすをしているので、こんなたいへんなことが起きているとは、とっさに気がつかなかった。
山下氏だけは、何かけはいを感じて、キュッと顔をひきしめながらたずねた。
「どうしました、キャラコさん」
キャラコさんが、しっかりした声で、いった。
「ちょっと、黒江さんのようすを見てちょうだい。ひどく悪いのだったら、これからすぐ医者を迎えにゆかなくてはなりませんから……」
そういっておいて、じぶんは急いで黒江氏の寝床をつくり、洗面器に清水を汲んでタオルと一緒に枕もとへそなえて置き、いつでも医者を迎いに出かけられるように甲斐甲斐しく身支度をしはじめた。