Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 26.767 Zeichen · 54 Bildschirme
黒江氏は、この地球上にどこにも身の置きどころがないというふうに身体を固くしながら、ささやいた。
「ひどく、よごれていますから……」
「ですから、サッパリしたのと取り換えましょうね」
「でも、……どうか、よしてください」
「じゃ、せめて、靴下だけでもとりましょう」
「しかし、きっと、ひどく臭うでしょうから……。このままにして置いてください」
「どうしても、いけませんの」
「死ぬよりつらいから、どうか、このままにしておいてください」
ところで、小屋の災難は、これだけではすまなかった。
一日において、その次の日、こんどは原田氏が落石の下敷きになって右足をつぶしてしまった。
その日、三人は支柱のない危険な廃坑の中で働いていた。夕方ちかいころ、三人のすぐ横の岩盤が、きしるような妙な音を立てた。
これが、災難のキッカケだった。根元のところから始った亀裂が、布を裂くような音を立てながら、眼にもとまらぬ早さで電光形に上のほうへ走りあがってゆき、大巾な岩側が自重で岩膚から剥離しはじめた。
原田氏は、二人より比較的入口の近いところにいた。
妙な音がするのでそのほうへふりかえって見ると、大きな岩側が、今まさに二人の上に倒れかかろうとしている。