Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.972 Zeichen · 66 Bildschirme
たぶん、それがいちばんいい方法なのであろうが、すっかりひねくれている二人の気持をどんなふうにしてやわらげたらいいのか、そのあてはなかった。
キャラコさんは、長椅子から身体を起こすと、足音を忍ばせながら、そっとレエヌさんの部屋をのぞきに行った。
頬のあたりに刺々しいものがあるが、それを除くと、平和といってもいいようなおだやかな顔でしずかな寝息をたてていた。
これが、ゆうべ、あんな邪慳な口をきいたそのひとだとは、どうしても思えない。むかし、桜の花の散る校庭で、ひとり離れてしずかに読書をしていた、優しい礼奴さんのようすが眼にうかぶ。あの時とすこしもちがわない顔だった。
近寄ってそっと、額に手をあてて見ると、かなりひどい熱だった。頬がポッと桜色になり、うっすらと汗をかいている。息をするたびに、どこかがピイピイと木枯のようなさびしい音をたてる。
枕元の水瓶を見ると、水がすこしもなくなっている。眼を覚まして水が欲しくなったらこまるだろうとおもって、ハンカチでそっとレエヌさんの額の汗を拭うと、水瓶をもって階下へ降りて行った。
食堂を通りぬけて料理場のほうへ行こうとすると、そこの胡桃の食器棚の前に保羅がうつ伏せになって倒れている。