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Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 9.452 Zeichen · 19 Bildschirme

Aozora Bunko

どれもこれも、古び、傷つき、こんなものを買うひともあるまいと思われるようながらくたばかりだが、たとえば、脚のとれた写字机にしろ、ホヤのない真鍮の置洋灯にしろ、それぞれ、長いあいだの手ずれの跡や、時代のかげがはっきりと残っていて、それをながめていると、時の歩みをしずかにふりかえっているようで、なんともいえないほのかな気持になる。

そればかりではない。セエブル焼きの置時計の細かい唐草模様のなかに隠されている貴婦人や農夫や、フランダースの飾り皿の和蘭の風景や、鯨に銛をうっている諾威の捕鯨船の図などに眼をよせて眺めると、今まで見落としていた小さな花々や、浮雲や、遠い風車や、波の間で泳いでいる魚などを、見るたびに、その中で、新しく発見する。

キャラコさんは、夢中になって、つい、こんなふうに叫んでしまう。

「あら、あそこに、あんな花が隠れていたわ。……まあ、なんてかあいらしいこと!」

キャラコさんは、この楽しみを自分ひとりだけのものにして、そっとしまっておいた。独逸語の先生のところへの往復、この飾窓の前に立つ十五分ぐらいの時間が、長い間、キャラコさんのひそかな楽しみになっていた。