Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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キャラコさん

キャラコさん

久生 十蘭

Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.819 Zeichen · 36 Bildschirme

Aozora Bunko

「あなた、ごじぶんで、お菓子、おつくりになれますの?」

「ええ、どんなものでも!……なにがいいかしら?」

「ボクが、じぶんでつくれるような、やさしくて、美味しいもの」

「では、捏粉菓子がいいわ」

少年は、椅子から躍りあがって、

「あの、捏粉菓子……、あの、ブリオーシュ……。こんなふうになって、…… 上にザラメのかかった?」

「ええ、そうよ!」

「ああ、思い出した! パパがいたとき、ボク、一度食べたことがある!」

「乾葡萄もいれましょうね」

「ああ、乾葡萄まで!」

「よろしかったら、胡桃もいれましょう」

「それ、ボク、食べるのね!」

「ええ、そうよ、お坊ちゃん。あなたが召しあがるのよ」

「ああ、ボク、ボク……」

少年は、もう、どうしていいかわからないといったふうに、長椅子の上をコロコロと転げ廻るのです。

「さあ、すぐ始めましょう。お料理場へ連れて行ってちょうだい。それから、あなたもお手伝いなさいね。あとで、ごじぶんでつくれるように」

料理場は長い廊下の端にありました。ひと目見ただけでこの邸で、どんな放埓な生活が送られていたかわかります。酒瓶や鑵詰の空鑵がいたるところに投げ出されてあって、開け放しになった冷蔵庫の中で、牛乳が腐って、ひどい臭いをたてていました。