Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.819 Zeichen · 36 Bildschirme
じぶんでもおかしいほど夢中になって、まだいちども経験したことのないような、胸を締めつけられるような奇妙な感情の中へ溺れこんでしまうのです。
ここまで書いたところで、槇子さんから電話がかかって来ましたの。別にたいしたことではありません。お夕食のお招きよ。でも、それは明日のことですから、休まずに続けますわ。
……そんなふうにして、ジリジリしながら待っているうちに、ようやく時計が半をうちます。あたしは、ナプキンの包みをさげて、お勝手を飛び出し、土塀のところまで走っていって壊い穴のそばへ坐ります。
間もなく、桃葉珊瑚の繁みの向うからピジャマを着たボクさんが鉄砲玉のように駆けて来ます。
穴から這い込んでくると、あたしの胸に、山羊のように、むやみに頭をおっつけたり、草の上にあおのけに寝ころんで足をバタバタさせたり、さんざんにあばれるのです。あたしも負けず劣らずにその辺をころげ廻ります。言葉では、とても二人のよろこびを表現することできないようなんです。
ぞんぶんに暴れると、ようやく落ち着いて、できるだけより添って坐ります。
「キャラコさん、ボク四時ごろから目を覚ましていましたの。