Japanische Klassiker mit Furigana
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キャラコさん
キャラコさん
久生 十蘭
Lesen Sie キャラコさん von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.012 Zeichen · 48 Bildschirme
森川氏は有名な美食家なので、酒棚にはムールソオやバルザックやクレクスなんていういろいろな葡萄酒が並べられてある。
食事がすむと、梓さんの提議で、キャラコさんの歓迎の意を表するため、本式に乾杯することになった。梓さんは触れれば消えてしまうかと思われるような薄いヴェネチャの洋盃を持ち出して来てひとりひとりの手に持たせ、もったいぶったようすで紅玉のようなシャトオ・ディケムを注いで廻る。そのうしろから、キャラコさんが水瓶を持って、みなの葡萄酒を、ほんのり薔薇色か、ひょっとすると、曙の色くらいに薄めてあるく。
チビの鮎子さんが、音頭をとることになって元気よく立ちあがったが、なんというのだったか忘れてしまった。鮎子さんは仏蘭西語でやっつけたいのである。それで、となりのピロちゃんにたずねる。
「なんて、いうんだっけ!」
「ア・ラ・ヴォートル!」
「たった、それだけ?」
「あたりまえだア」
「じゃ、ね、ア・ラ・ヴォートル! ……われらの監督さんの安着を祝し、キャラコさんをわれわれのもとへ派遣した長六閣下の寛大なるご処置に感謝いたしまァす」
ア・ラ・ヴォートル! といいながらひと息に飲みほして、だれもみな、あまり美味くもないような顔をした。