Japanische Klassiker mit Furigana
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あさ
グッド・バイ
Lesen Sie グッド・バイ (あさ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.572 Zeichen · 45 Bildschirme
私は黙って本箱の上の、蝋燭の焔を見た。焔は生き物のように、伸びたりちぢんだりして、うごいている。見ているうちに、私は、ふと或る事に思い到り、恐怖した。
「この蝋燭は短いね。もうすぐ、なくなるよ。もっと長い蝋燭が無いのかね。」
「それだけですの。」
私は黙した。天に祈りたい気持であった。あの蝋燭が尽きないうちに私が眠るか、またはコップ一ぱいの酔いが覚めてしまうか、どちらかでないと、キクちゃんが、あぶない。
焔はちろちろ燃えて、少しずつ少しずつ短かくなって行くけれども、私はちっとも眠くならず、またコップ酒の酔いもさめるどころか、五体を熱くして、ずんずん私を大胆にするばかりなのである。
思わず、私は溜息をもらした。
「足袋をおぬぎになったら?」
「なぜ?」
「そのほうが、あたたかいわよ。」
私は言われるままに足袋を脱いだ。
これはもういけない。蝋燭が消えたら、それまでだ。
私は覚悟しかけた。
焔は暗くなり、それから身悶えするように左右にうごいて、一瞬大きく、あかるくなり、それから、じじと音を立てて、みるみる小さくいじけて行って、消えた。
しらじらと夜が明けていたのである。