Japanische Klassiker mit Furigana
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グースベリーのうれるころ
グースベリーの熟れる頃
宮本 百合子
Lesen Sie グースベリーの熟れる頃 (グースベリーのうれるころ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.041 Zeichen · 12 Bildschirme
仙二ははじかれた様に振りっかえった。
切り下げの白っぽい着物の上に重味のありそうな羽織を着た年寄りのわきにぴったりとついて長い袂の大きな蝶の飛んで居る着物にまっ赤な帯を小さく結んで雪踏の音を川の流れと交って響かせて行く若い女の様子を仙二は恐ろしい様な気持で見た。
二つの姿はまがって大神宮の方に見えなくなった。
仙二はフットあたりを見廻してから口笛を吹き出して何のあてどもなく足元の花をむしった。
そうして何となく重い物を抱えた様にして家にかえった。
それから後毎日夕方になるときっとその二つの姿を見た、いつの時でも女はきっと赤い帯に雪踏をはいて居た。
二三日たった仙二は年寄は自分が先からもチョクチョク会う人だと云うのを知りその人達の住んで居る杉並木の奥にある平屋なんかも思った。
仙二はまだ見た事もない髪形や着物の模様を批評するよりただ珍らしいと思ってばかり見た。
その家のわきを通るとその娘の笑う高い声や戯言を云うのがきこえ夜の静かな中に高くて細い歌声がこまかくふるえて遠くまでひびいて居る事もあった。
高い張った声とはっきりした身なりは仙二がどうしても忘れる事は出来なくなった。