Japanische Klassiker mit Furigana
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ケーベルせんせい
ケーベル先生
Lesen Sie ケーベル先生 (ケーベルせんせい) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.238 Zeichen · 7 Bildschirme
それから菊の話と椿の話と鈴蘭の話をした。果物の話もした。その果物のうちでもっとも香りの高い遠い国から来たレモンの露を搾って水に滴らして飲んだ。珈琲も飲んだ。すべての飲料のうちで珈琲が一番旨いという先生の嗜好も聞いた。それから静かな夜の中に安倍君と二人で出た。
先生の顔が花やかな演奏会に見えなくなってから、もうよほどになる。先生はピヤノに手を触れる事すら日本に来ては口外せぬつもりであったと云う。先生はそれほど浮いた事が嫌なのである。すべての演奏会を謝絶した先生は、ただ自分の部屋で自分の気に向いたときだけ楽器の前に坐る、そうして自分の音楽を自分だけで聞いている。そのほかにはただ書物を読んでいる。
文科大学へ行って、ここで一番人格の高い教授は誰だと聞いたら、百人の学生が九十人までは、数ある日本の教授の名を口にする前に、まずフォン・ケーベルと答えるだろう。かほどに多くの学生から尊敬される先生は、日本の学生に対して終始渝らざる興味を抱いて、十八年の長い間哲学の講義を続けている。先生が疾くに索寞たる日本を去るべくして、いまだに去らないのは、実にこの愛すべき学生あるがためである。