Japanische Klassiker mit Furigana
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ゲテうおずき
ゲテ魚好き
火野 葦平
Lesen Sie ゲテ魚好き (ゲテうおずき) von 火野 葦平 (ひのあしへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.639 Zeichen · 8 Bildschirme
しかし、鈍魚という字が面白く、また、ドンコの性格をよくあらわしているので、私は東京阿佐ヶ谷の寓居に「鈍魚庵」という名をつけている。正式にはドンギョあんであるが、ドンコあんと読まれてもさしつかえないことにしている。
ドンコはいくら下手でも、女子供でも、年よりでも釣れる。それはいくら釣りそこなっても、とにかく釣りあげられるまではエサに食いつくからだ。そこで、貪欲の貪をとって貪魚という字があてはめられたのかも知れない。また、行動がすこぶる鈍重だから、一度見つけると、たいていは釣れる。ほとんど技術も入らない。しかし、釣りあげられても悠々たるもので、すこしもあばれない。鯉はマナイタの上にのせられると動かなくなるといわれているが、それは覚悟を定めての上で、ドンコのようにどうされるのか知らないのとは、精神に雲泥の差がある。
河豚も醜魚だが、ドンコもあんまり恰好がよいとはいえない。しかし、味はなかなかよくサシミにしても食える。北原白秋の故郷柳川は水郷である。その縦横のクリークにはドンコがたくさんいるので、私はよく柳川でドンコ釣りをしたが、緒方一三さんというドンコ通がいて、ドンコの頬ペタのフクラミの肉は、どんな魚の味よりもおいしい、その頬のサシミを手のひらに一杯食べたら死んでもよいなどと笑って話していた。