Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ココナットのみ

ココナットの実

夢野 久作

Lesen Sie ココナットの実 (ココナットのみ) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 17.448 Zeichen · 35 Bildschirme

Aozora Bunko

「今朝はたいそう、お早う御座います……お姫様……」

ハラムの日本語は、本物の日本人よりもズットお上品で、立派に聞えた。シンガポールの一流のホテルで日本人専門のボーイを志願して稽古したのだと云っていたが、発音がハッキリしている上に、セロみたいな深い響きをもっていた。

「……あたし……淋しいのよ……」

妾は濡れたまんまの両腕をハラムの太い首に捲きつけた。その拍子にハラムの身体に塗りつけた香油の匂いがムウウとした。

ハラムはすこしビックリしたらしく、眼をまん丸にして、白眼をグルグルと動かしながら、高らかに笑いだした。

「ハッハッハッハッハッ。……おおかたお姫様は……お腹がお空きになったので御座いましょう」

妾はイキナリ、その毛ムクジャラの胸に飛び付いて、甘たれるように首を振って見せた。

「イイエイイエ。あたしチットモひもじかない。ゆんべ遅くまで色んなものを喰べたんだもの……それよりも妾ホントウに淋しいのだよ。お前にこうして抱っこされていてもよ……綱渡りの途中で綱が切れちゃって、そのまんま宙に浮いているような気もちよ。ドッチへ行ったらいいのか解んなくなったような気もちよ。