Japanische Klassiker mit Furigana
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シナーニしょてんのベンチ
シナーニ書店のベンチ
宮本 百合子
Lesen Sie シナーニ書店のベンチ (シナーニしょてんのベンチ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.387 Zeichen · 15 Bildschirme
今日でも、モスクワ市トゥウェルフスカヤ街に店舗を張っている理髪師は、巴里風と称するロシア式剪髪によって、盛に客の衿頸に毛を入れている。妻に送ったチェホフ書簡集の訳者はおかっぱだ。彼女は時々理髪店へ行かなければならない。帰ると、ホテルの部屋で小さくない騒ぎがある。彼女の日本の皮膚は、とてもこのロシア的チラチラを我慢できない。自分で背中は見えないから、私が土耳古風呂の女番人のようにタオルを振り廻し、彼女の頸から黒い東洋の毛を払い落さなければならない。――名声ある作家と愛された女優との夫妻は、彼等のあたたかい、誠実な才能に溢れた手紙の中で、劇について、芸術の本質について、香水と雑誌について語る。が、忘れず最後に、作家は夫として書いている。――お前が羨しい、横着者奴、お前は風呂へ行ったね※(感嘆符二つ、1-8-75)――ロシアでなくてどこにこれがあろう。
クニッペルに書かれたいろいろ日常茶飯のこと、チェホフが愛情の濃やかさから書いたそれらの日常茶飯の描写に、我々は彼の短篇の種々なモーティヴの潜在を感じる。
南方の九月のヤルタ、天気がよいのに雨が降ってくる。