Japanische Klassiker mit Furigana
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ジストマたいじのはなし
ジストマ退治の話
中谷 宇吉郎
Lesen Sie ジストマ退治の話 (ジストマたいじのはなし) von 中谷 宇吉郎 (なかやうきちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.042 Zeichen · 23 Bildschirme
人間の身体なんて、実に簡単なもので、理窟どおりに治るものだと、少し気恥しくなると同時に、それ以来西洋医学をあまり馬鹿にしないことにきめた。三週間に一遍くらい東京へ出て来て、武見さんに診てもらうごとに、「あなたはなかなか名患者だ。よく治っている」と褒められた。結局二カ月くらいしたら、もう自覚症状は全然なくなり、小便へ胆汁も出なくなった。
これで準備工作は、一応完了した。これからいよいよ肝臓ジストマ退治にかかるわけである。
胃袋の方は不思議なほどよく治ったが、何といっても、三年越しの療養生活の後であり、何千匹というジストマは、まだ肝臓の中に頑張っているので、なかなかそう急に全身栄養までよくなるというわけには行かない。それでまず身体をアンチモンに対して馴化する方がよかろうということになった。それには、ミルスとかいう和製のアンチモン注射薬があり、これは效きも悪いが、その代り副作用も少ないので、それでまず身体を馴らすことにした。
武見さんの考えでは、一日おきに二十五本くらいやればいいだろうということであった。途中風邪をひいたり、おなかをこわしたりすれば休まねばならないので、まず二カ月の辛抱を必要とする。