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Japanische Klassiker mit Furigana

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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

Lesen Sie ジロリの女 (ジロリのおんな) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.597 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

泣きたかった。やるせないものである。とは云いながら、私の胸は夢心持にワクワクしてもいるのである。

衣子はネマキに着代えずにドスンとフトンの上にころがったが、私が寄りそって横になると、さすがに、にわかにキリリとして、

「三船さん、ダメ」

「だって、あなた、今さら、そんな」

衣子は身もだえて、はゞみ、

「あなた、酔ってるのね」

「いゝえ、酔ってはおりません。私はひどく冷静なんです」

「私は酔ってる。ヨッパライよ。けれども、頭はハッキリしたわ。あなた、約束してくれる。旅行に行っちゃダメよ。私を一人にしちゃダメよ」

「えゝ、えゝ、御命令には断じて服従します。行きませんとも」

そして私は何とも悲しく、なつかしい思いになった。そして気違いのように衣子のウナジをだいて、接吻の雨をふらしたものだ。

私はながく眠らなかった。

衣子が眠ったのを見すますと私は起き上って、枕元に用意させた酒をのんだ。

何か茫々とした心の涯に、悲しさもあった。然し、あたゝかい愛情がこもっていた。いとしい女よ。私は時間について考えた。この女を口説きつゝあった時間、心に征服を決意してからの長い時間、その時間に起った様々の出来事ではなく、たゞその時間というものだけをボンヤリ意識しているだけだった。