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Japanische Klassiker mit Furigana

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ジロリのおんな

ジロリの女

坂口 安吾

Lesen Sie ジロリの女 (ジロリのおんな) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 51.597 Zeichen · 102 Bildschirme

Aozora Bunko

美代子は、まるで、白痴であった。怒り、呪い、蔑んでも、私に従わざるを得ないのである。再三の罪の怖れのために、わが家へ戻る力がつきているのであろう。

私の胸には、もはや怒りも復讐もなかったけれども、私を憎み蔑みながら私に従わざるを得ぬ美代子を見ると、衣子を思い、あの女の最後の底なる醜悪なるものを思って、目を閉じ、耳をふさぎ、嘔吐を覚えるのであった。

私は然し、美代子をオロソカにはしなかった。どのように私を憎み蔑んでも、私はいたわり、貴重な品物のように、大切に扱ってやる。私にとっては、やっぱり、いとしく、いじらしい品物なのである。

「さア、おいで、髪の毛がみだれているよ」

美代子はうずくまり、突きさすように私を睨んでいる。

「よし、よし、それでは」

私が立って美代子のそばへ寄りそい、髪の毛をくしけずってやる。美代子はジッと、私が今立ち去った空白を、さっきと同じあのまゝの視線で睨みつけて動かない。然し、私のされるがまゝになっている。

私たちは雪国へ行った。例年はまだ雪に早い季節であったが、この年は特別で、もはや数尺、根雪となっているのである。

死んでもいゝとは思っていたが、特に死ぬ気も持たなかった。