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Japanische Klassiker mit Furigana

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ズラかったしんきち

ズラかった信吉

宮本 百合子

Lesen Sie ズラかった信吉 (ズラかったしんきち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 54.656 Zeichen · 110 Bildschirme

Aozora Bunko

行って見ろ」

「鋤? 何だね鋤って――」

「工場だ――農具をこさえる工場で、大きい工場だ」そして「お前が日本で働いてた、田舎の、小ちゃいんじゃないよ」剽軽に、信吉の訛ったロシア語を真似して笑った。

「体格検査をうけて、通ったら見習一週間。給料つき。それから本雇の給料は、工場委員会の技術詮衡委員がきめてくれる。――わかったか? サア、これがところ書だ」

モスクワ、ヤロスラフスコエ街道。――

モスクワも北端れだ。長く続いた工場の煉瓦塀の外に青草が生え、白い山羊が遊んでいる。貨車の引こみ線らしいものが表通りからも見えた。

工場クラブの横に診療所があって、信吉といっしょに健康診断をうける男がほかに三十人ばかりある。

信吉はズボンだけの裸んなって、腋毛を見せながら、白い上っぱりを着た中年の医者の前へ立った。

「さて……見たところ達者そうだね」

信吉に舌を出させながら、

「お父さんとお母さんは丈夫かね」

「親父は丈夫です。お母は死んだ」

「何で?」

「知らない」

「肺病か、それとも――気違いじゃないか」

医者は人さし指をコメカミのところでクルクルまわして見せた。

「そうじゃないです」