Japanische Klassiker mit Furigana
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セメントだるのなかのてがみ
セメント樽の中の手紙
葉山 嘉樹
Lesen Sie セメント樽の中の手紙 (セメントだるのなかのてがみ) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.538 Zeichen · 6 Bildschirme
そのくせ、頑丈に釘づけしてあった。
「思わせ振りしやがらあ、釘づけなんぞにしやがって」
彼は石の上へ箱を打っ付けた。が、壊われなかったので、此の世の中でも踏みつぶす気になって、自棄に踏みつけた。
彼が拾った小箱の中からは、ボロに包んだ紙切れが出た。それにはこう書いてあった。
――私はNセメント会社の、セメント袋を縫う女工です。私の恋人は破砕器へ石を入れることを仕事にしていました。そして十月の七日の朝、大きな石を入れる時に、その石と一緒に、クラッシャーの中へ嵌りました。
仲間の人たちは、助け出そうとしましたけれど、水の中へ溺れるように、石の下へ私の恋人は沈んで行きました。そして、石と恋人の体とは砕け合って、赤い細い石になって、ベルトの上へ落ちました。ベルトは粉砕筒へ入って行きました。そこで鋼鉄の弾丸と一緒になって、細く細く、はげしい音に呪の声を叫びながら、砕かれました。そうして焼かれて、立派にセメントとなりました。
骨も、肉も、魂も、粉々になりました。私の恋人の一切はセメントになってしまいました。残ったものはこの仕事着のボロ許りです。私は恋人を入れる袋を縫っています。