Japanische Klassiker mit Furigana
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セメントだるのなかのてがみ
セメント樽の中の手紙
葉山 嘉樹
Lesen Sie セメント樽の中の手紙 (セメントだるのなかのてがみ) von 葉山 嘉樹 (はやまよしき) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.538 Zeichen · 6 Bildschirme
それだのに、私はあの人に経帷布を着せる代りに、セメント袋を着せているのですわ! あの人は棺に入らないで回転窯の中へ入ってしまいましたわ。
私はどうして、あの人を送って行きましょう。あの人は西へも東へも、遠くにも近くにも葬られているのですもの。
あなたが、若し労働者だったら、私にお返事下さいね。その代り、私の恋人の着ていた仕事着の裂を、あなたに上げます。この手紙を包んであるのがそうなのですよ。この裂には石の粉と、あの人の汗とが浸み込んでいるのですよ。あの人が、この裂の仕事着で、どんなに固く私を抱いて呉れたことでしょう。
お願いですからね。此セメントを使った月日と、それから委しい所書と、どんな場所へ使ったかと、それにあなたのお名前も、御迷惑でなかったら、是非々々お知らせ下さいね。あなたも御用心なさいませ。さようなら。
松戸与三は、湧きかえるような、子供たちの騒ぎを身の廻りに覚えた。
彼は手紙の終りにある住所と名前を見ながら、茶碗に注いであった酒をぐっと一息に呻った。
「へべれけに酔っ払いてえなあ。そうして何もかも打ち壊して見てえなあ」と怒鳴った。
「へべれけになって暴れられて堪るもんですか、子供たちをどうします」