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Japanische Klassiker mit Furigana

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ゼーロン

ゼーロン

牧野 信一

Lesen Sie ゼーロン von 牧野 信一 (まきのしんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.533 Zeichen · 29 Bildschirme

Aozora Bunko

私も、思わず彼のに追従した悲鳴を挙げて、その首根に蛙のように齧りつかずには居られなかった、凡そ以前のゼーロンには見出すことの出来なかった驚くべき臆病さである。

これにはじめて勢いを得たゼーロンは、野花のさかんな河堤をまっしぐらに駆け出したのである。私は、この時とばかりに努めて、口笛と交互に緩急な Ballad を鞭にして、「こわれかかった車」のスピードを操った。ゼーロンの脚さばきは跛であったから駆ければ駆ける程乱雑な野蛮な音響を巻き起し、口腔をだらしもなく虚空に向けて歯をむき出し、二つの鼻腔から吐き出す太い二本の煙の棒で澄明な陽光を粉砕した。私は、こんな物音ばかり凄まじいボロ汽関車を操縦して、行手の嶮しい山径を越えなければならないかと思うと、急に背中の荷物が重味を増して来て、稍々ともすると荘重な華麗な声調を要する筈の唱歌が震えて絶え入りそうになったが、そんな気配を悟られてまたもやゼーロンの気勢がくじけたら一大事だと憂えたから、血を吐く思いの悲壮な喉を搾りあげて、魔の住む沼も茨の径も、吾が往く駒の蹄に蹴られ……と、乱脈なヒクソスの進軍歌を喚きたてながら、吾と吾が胸を滅多打ちの銅鑼と掻き鳴らす乱痴気騒ぎの風を巻き起してここを先途と突進した。