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Japanische Klassiker mit Furigana

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きなだむら

ゼーロン・淡雪 他十一篇

牧野 信一

Lesen Sie ゼーロン・淡雪 他十一篇 (きなだむら) von 牧野 信一 (まきのしんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.321 Zeichen · 54 Bildschirme

Aozora Bunko

そして私のもののいい方は、人のいうことには耳も借さぬというような突っ放した態で、太いような細いようなカンの違ったウラ声だった。――私は次々と自分の容子を今更鏡に写して見るにつけ、人の反感や憎念を誘うとなれば、スッポンや法螺忠に比ぶべくもなく、私自身としても、先ず、こやつを狙うべきが順当だったと合点された。こやつが担がれて惨憺たる悲鳴をあげる態を想像すると、そこに居並ぶ誰を空想した時よりも好い気味な、腹の底からの爽々しさに煽られた。それにつけて私はまた鏡の中で隣の御面師を見ると、狐のような不平顔で、はやく金をとりたいものだが自分がいい出すのは厭で、私をせき立てようといらいらして激しい貧乏ゆすりを立てたり、キョロキョロと私の横顔を窺ったりしているのが悪寒を持って眺められた。彼はこの卑怯因循な態度で終いに人々から狙われるに至ったのかと私は気づいたが、不断のように敢て代弁の役を買って出ようとはしなかった。そして私はわざとはっきりと、

「水流舟二郎君、僕はもう暫くここで遊んでゆくから、もし落着かないなら先へ帰り給えな。」といった。

「ミナガレ舟二郎か――こいつはどうも打ってつけの名前だな。