Japanische Klassiker mit Furigana
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きなだむら
ゼーロン・淡雪 他十一篇
牧野 信一
Lesen Sie ゼーロン・淡雪 他十一篇 (きなだむら) von 牧野 信一 (まきのしんいち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.321 Zeichen · 54 Bildschirme
いうまでもなくこの三人の者は常々不和の仲で、途上で出遇っても碌々挨拶も交したことのないほどの間柄なのである。
………………
これだけの緒口を考えつくと僕は、急に愉快になって寝台から飛び降りた。僕の頭は梅雨期を過ぎて初夏の陽が輝いたかのように爽々しくなった。
僕は名状しがたい嬉しさに雀躍りしながら、壁飾りに掛けてあるアメリカ・インデアンの鳥の羽根のついた冠りを執り、インデアン・ガウンを羽織って(全くそんなことでもしなければ居られなかった、一体僕は馬鹿で、悲喜の現れが露骨で、例えばこの頃でも、おそらく生活には要がないにもかかわらずややともすると幾何や代数の解題を試みるのであるが、極く稀に自力で問題が解ける場合に出遇うと、狂喜のあまり不思議な音声を発したりするのである。その声があまりに突拍子もなく大きくて、夜中などであると、わが家の熟睡にある同人連は夥しい迷惑を蒙り、翌朝それがために寝坊を余儀なくされ、そして僕は朝飯が待ち切れずに停車場の待合室へ赴いて汽車売の弁当を喰べなければならなくなったりする。……で、今も、思わず歓呼の声を挙げかかったのであったが、咄嗟の間にそれに気づいて、辛うじて口を緘したわけである。