Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
デカダンこうぎ
デカダン抗議
Lesen Sie デカダン抗議 (デカダンこうぎ) von Dazai Osamu (太宰 治) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.873 Zeichen · 8 Bildschirme
私は上衣のボタンをわざと一つり取った。恋に窶れて、少し荒んだ陰影を、おのが姿に与えたかった。
Aという、その海のある小都会に到着したのは、ひるすこしまえで、私はそのまま行き当りばったり、駅の近くの大きい割烹店へ、どんどんはいってしまった。私にも、その頃はまだ、自意識だのなんだの、そんなけがらわしいものは持ち合せ無く、思うことそのまま行い得る美しい勇気があったのである。後で知ったのだが、その割烹店は、県知事はじめ地方名士をのみ顧客としている土地一流の店の由。なるほど玄関も、ものものしく、庭園には大きい滝があった。玄関からまっすぐに長い廊下が通じていて、廊下の板は、お寺の床板みたいに黒く冷え冷えと光って、その廊下の尽きるところ、トンネルの向う側のように青いスポット・ライトを受けて、ぱっと庭園のその大滝が望見される。葉桜のころで、光り輝く青葉の陰で、どうどうと落ちている滝は、十八歳の私には夢のようであった。ふと、われに帰り、
「ごはんを食べに来たのだ。」
いままで拭き掃除していたものらしく、箒持って、手拭いを、あねさん被りにしたままで、
「どうぞ。」と、その女中は、なぜか笑いながら答え、私にスリッパをそろえてくれた。