Japanische Klassiker mit Furigana
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トコヨゴヨミ
トコヨゴヨミ
田山 花袋
Lesen Sie トコヨゴヨミ von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.449 Zeichen · 38 Bildschirme
片時も心の安まる時がなかった。自分は何もわるいことはしないのだけれど、今までのことが既に大きな罪になっていて、突然刑事や巡査がやって来て自分を伴れて行きはしないかとさえ疑われた。
かれは部落に一人いる巡査を怖いものに思って、その駐在所の傍は常によけるようにして通って行った。
ふと思いついた。かれは例の通り膝を拍った。晴々しい顔をして心の中で叫んだ。「そうだ。そうだ、そうしよう。あいつを持って東京へ行こう。あいつなら確かだ。確に売れる。誰も必要な重宝なものだから……。」かれは海岸の村にいる時分、一生懸命になって、ある一種の暦を発明したことを思い出したのであった。それは千年前乃至千年後の二十八宿と七曜日が数字の合せ方で間違いなく出て来るというようなものであった。それをかれはかれの不思議な数学的の頭から案出した。かれはそれを郷里出身の理学博士に送って賞讃を博した。現にその博士の手紙を勇吉は持っていた。「そうだ、それに限る。暦は安くって必要なものだから、いくらでも売れる。東京に行って、安い印刷所でこしらえれば費用だっていくらもかからない。一枚二、三十銭位で売り出せば屹度売れる。