Japanische Klassiker mit Furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
……夜が明けたのだ……。
私はボンヤリとこう思って、両手で眼の球をグイグイとコスリ上げた。グッスリと睡ったせいであったろう。今朝、暗いうちに起った不可思議な、恐ろしい出来事の数々を、キレイに忘れてしまっていた私は、そこいら中が変に剛ばって痛んでいる身体を、思い切ってモリモリモリと引き伸ばして、力一パイの大きな欠伸をしかけたが、まだ充分に息を吸い込まないうちに、ハッと口を閉じた。
向うの入口の扉の横に、床とスレスレに取付けてある小さな切戸が開いて、何やら白い食器と、銀色の皿を載せた白木の膳が這入って来るようである。
それを見た瞬間に、私は何かしらハッとさせられた。無意識のうちに今朝からの疑問の数々が頭の中で活躍し初めたのであろう。……吾を忘れて立上った。爪先走りに切戸の傍に駈け寄って、白木の膳を差入れている、赤い、丸々と肥った女の腕を狙いすまして無手と引っ掴んだ。……と……お膳とトースト麺麭と、野菜サラダの皿と、牛乳の瓶とがガラガラと床の上に落ち転がった。
私はシャ嗄れた声を振り絞った。
「……どうぞ……どうぞ教えて下さい。僕は……僕の名前は、何というのですか」