Japanische Klassiker mit Furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
はよからぬ輩と交りを結びて彼処此処の道場を破りまはり、茶屋小屋の押し借りするなぞ、狼籍の限りを尽して身の置き処無きまゝに、此程窃かに御帰国ありし趣に候。さりながら御家中の誰あつて、嫁婿の御望みを承るものなきのみならず、蛇、毛虫の如く忌み恐れ居り候ひし処、当家の事を聞き及ばれ、かく御沙汰ありしものに侍り。のみならず、其のまことの下心は、御事済みの後、御家老の御威光をもちて、呉家の物なりを家倉ともに押領せられむ結構とこそ承り候へ。御運とは申せ、力無き事とは申せ、御行末の痛はしさを思へば、眼も眩れ、心も消えなむ計りと、涙を流して申し候。妾もいかゞはせむと打ち惑ひ侍りしが、かよわき身の詮方もなく、案じ佗び候ひし折柄、此程の秋の取り入れごと相済み候ひて、稍落ち付き侍りし今宵の事、彼の雲井喜三郎といふ御仁、御供人も召し連れ給はず、御羽織袴も召されぬ儘、唯お一人にて、思ひもかけず吾家へお見えなされ候。
這は如何にとて皆々走せまどひ、御酒肴取りあへず奥座敷に請じ参らするうち、妾も化粧をあらためて御席にまかり出で侍りしが、彼の御仁体を見奉るに、半面は焼け爛れて偏へに土くれの如く、又残る片側は、眉千切れ絶え、眥白く出で、唇斜に偏りて、まことに鬼の形とや云はむ。