Japanische Klassiker mit Furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
「ヘヘヘイ。先生方がおいでになりますことはチョットも存じませんで……きょうは私一人で御座いますもんじゃけん、まだお掃除も致しませんで……まことに不行届きで……申訳御座いませんで……ヘイヘイ……」
小使の爺は二人の前に、危っかしい手附きで茶を注いで出すと、何遍もお辞儀しいしい禿頭を光らせて出て行った。
そのあとを見送って、扉の閉まるのを見届けた正木博士はイキナリ前屈みになってカステーラの一片を手掴みにすると、たった一口に頬張り込んで熱い茶をグイグイと呑んだ。そうして私にも喰えという風に眼くばせをした。
しかし私は動かなかった。両手を膝の上に束ねて眼を瞠ったまま、正木博士のする事を見ていた。何かは知らず私には解らない別の意味で、互いに火花を散らしているらしい二人の博士の緊張ぶりに心を惹かれながら……。
「アハハハハハ。何もそんなに気味わるがる事はないよ。これだから吾輩は悪党が好きなんだ。彼奴め吾輩が昨夜から徹夜をして、何も喰っていない事を知っていやがるんだ。そこで吾輩の大好物の長崎のカステラを遣して上杉謙信を気取りやがったんだ。病院の前で患者の見舞用に売っているシロモノだから何も心配する事はない。