Japanische Klassiker mit Furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
その時に呉青秀は、この未完成の絵巻物の一巻と、黛夫人の髪毛の中から出て来た貴妃の賜物の夜光珠……ダイヤだね……それから青琅の玉、水晶の管なぞの数点を身に付けて、生命からがら山林に紛れ込んだが、それから追捕を避けつつ千辛万苦する事数箇月、やっと一ヶ年振りの十一月の何日かに都に着くと蹌踉として吾家の門を潜った。既に死生を超越した夢心地で、恍惚求むるところなし。何のために帰って来たのか、自分でも解らなかったという」
「……ハア。ホントに可哀相ですね。そこいらは……」
「ウム。ちょうど生きた人魂だね。扨て門を這入ってみると北風枯梢を悲断して寒庭に抛ち、柱傾き瓦落ちて流を傷むという、散々な有様だ。呉青秀はその中を踏みわけて、自分の室に来て見るには見たものの、サテどうしていいかわからない。妻の姿はおろか烏の影さえ動かず。錦繍帳裡に枯葉を撒ず。珊瑚枕頭呼べども応えずだ。涙滂沱として万感初めて到った呉青秀は、長恨悲泣遂に及ばず。几帳の紐を取って欄間にかけ、妻の遺物を懐にしたまま首を引っかけようとしたが、その時遅く彼の時早く、思いもかけぬ次の室から、真赤な服を着けた綽約たる別嬪さんが馳け出して来て……マア……アナタッと叫ぶなり抱き付いた」