Japanische Klassiker mit Furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
すなわち絵巻物探索の唯一無上の手がかりとして、手を換え、品を変えて機嫌を取っていたT子から、抵抗不可能ともいうべき自分の急所に、思いもかけぬ肘鉄砲を一発ズドンと喰わされたのであった。
……というのは別の事でもない。T子が相手の恋を敵本主義の裏打ちものとウスウス感付いていた事は、今話した通りであるが、今一つにはそのWが、甚しい肺病の家筋で、本人の体質がその事実を遺憾なく証明している事を、その頃になって初めて聞き知ったからで、この点についてWはT子に対して全然、事実を偽っていた事が、同時に判明したからであった。……しかも、これは余談ではあるが、こうした事実に照してみると、T子のこうしたふしだらが、決して尋常一様の浮気から出たものでない事がわかると同時に、その薄情な態度も強ちに咎められなくなる。その浮気の裡面には呉家の血統の継続という痛々しい、悲しい観念が有力に動いていた。それが魔風恋風以来の自由恋愛の風潮に乗って具体化されたものに外ならない。かよわい女の判断ながら、出来るだけ人格の正しい、健康な血統の子孫を設けたいものと、一心に憧憬れ願っていた心情がハッキリと首肯かれる訳で、T子が家出をした当時に、その界隈の人々が『どうせい自宅に居て婿どんを探しても、旅烏のGぐらいの男が関の山じゃろうけに』