Japanische Klassiker mit Furigana
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ドグラ・マグラ
ドグラ・マグラ
夢野 久作
Lesen Sie ドグラ・マグラ von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 424.847 Zeichen · 824 Bildschirme
……呉一郎は姪の浜の石切場でこの絵巻物の白い処を一心に凝視していたという。しかもその時は既に半分呉青秀、半分は呉一郎の気持ちでいたものと推定されているから果して、どちらの気持ちでそうしていたものか判然しないのであるが、しかしいずれにしても、この絵巻物の白い処をズットおしまいの処まで見て行った……そうしてそこに落ち込んでいる何ものかを発見したに違いない事は容易に推定出来ると思う。
……その証拠に呉一郎は「この絵巻物の預り主の正体を知っている」と仙五郎爺さんに話しているではないか……。
……どうして……どうして私は今の今までこの事実に気付かなかったのだろう……。
こうした考を一瞬間のうちに頭に閃めかした私は、又も、何者かに追駈けられているような予感がして、チョット腕時計と電気時計を見較べた。どちらも十二時に四分前である。
私の手は再び反射的に絵巻物を持ち直して白い処を捲き拡げ始めた。そうして最初の一分間かそこらは、できるだけ冷静に調べて行くつもりであったが、どこまで行っても唯真白いばかりの唐紙の上を一心に見つめて行かなければならぬ事が、判り切っているように思えるので、私は間もなく、涯しもない白い砂漠を、当もないのにタッタ一人で旅行させられているような苛立たしさと、馬鹿らしさを感じ初めた。