Japanische Klassiker mit Furigana
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ニッケルのぶんちん
ニッケルの文鎮
甲賀 三郎
Lesen Sie ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.523 Zeichen · 37 Bildschirme
あたしは何だか二人で清水の加勢をしているようで憎らしかったわ。二人は清水の回し者かしらと思ったわ。だって清水はあんなに先生を苦しめた奴じゃありませんか。何も弁護するに当たらないと思うわ、清水はひっつった死面のような顔を二人の方に向けて、眼で拝んでいるようだったわ。
『文鎮の長さはどれ位でしょう』下村さんがあたしの思慮などお構いなしに聞いたわ。
『約一尺という事じゃが』検事さんの答え。
『もっと委しく知りたいのです』
刑事ってんでしょうか、清水の傍にくっついていた人は渋々巻き尺を出して計ったわ。
『十一インチ四分の三』
『えっ、間違いはありませんか。大丈夫ですか――内野君』内野さんの方を向いて『君とほら、二、三日前にあの文鎮の長さの賭けをしたろう、君は長さを覚えているかい』
『十一インチ八分の七』内野さんがきっぱり答えたわ。
各自考えていたんでしょう。しばらく誰も口を利くものがなかったわ。あたしも考えて見たんだけれども何の事かちっとも分からなかったわ。下村さんは沈思黙考という形、内野さんはゴソゴソ本箱の辺で何やら調べ始めたようでした。
『文鎮を削って見て下さい』