Japanische Klassiker mit Furigana
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ニッケルのぶんちん
ニッケルの文鎮
甲賀 三郎
Lesen Sie ニッケルの文鎮 (ニッケルのぶんちん) von 甲賀 三郎 (こうがさぶろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.523 Zeichen · 37 Bildschirme
それでも別れる時に、『八重ちゃん、さようなら、ご縁があったらまた逢いましょう』といわれた時には何だか心細くて涙が出たわ。
その後の事はあんたも新聞で知っているでしょう。清水と古田は先生の研究を盗もうとした罪で刑務所へ入れられたわ。清水はあの日殺人の嫌疑が逃れられぬと思った為に、すっかり驚いてしまって、その後頭脳が呆けてまるで駄目になっちゃったそうだわ。矢張り天罰ね。先生のご研究というのは何でも戦争に役に立つ事なんですって。これは無事に陸軍だか海軍だか知らないが、ちゃんとその方へ納まったんですって。ただ思いがけなかったのは下村さんが警察へ行く途中で逃げちゃった事だわ。あたしまさかそんな事する人とは思わなかったんですけれどもね。人って分からないものと思っていたの。そうしたらなんでも二、三カ月経って、清水や古田の事がすっかり落着した時分よ、あたしのこちらへ上がっている事をどこで知ったのか、内野さんと下村さんとから、しかも妙じゃない事、同じ日に手紙が来たの。あたし、下村さんの方から読んだのです。
『親愛なる八重子さん。
ご無事にお暮らしで結構です。蔭ながら喜んでいます。