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Japanische Klassiker mit Furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.878 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

「そイで、君何をしようっていうの? 妙なことをすると喇叭を鳴らして人を呼んでよ」

すると男は妙な苦笑をしながら、

「自動車の喇叭を聞いて飛び出して来るのは旅館の召使だけさ」といっておいて、急にコン吉の方に向き直り、

「おい、若いの。先刻からいやに黙ってるじゃねえか。……乙に澄ますねえ、やい!」と、いきなり扉越しにコン吉の脇腹を小突いた。コン吉は螽斯のように飛びあがって、

「お助け下さい」と、手を合せた。

男は、ニヤニヤ笑ってコン吉を見ていたが、やがて Quandnoustionsdeux という小唄を口笛で吹きながら、横の小道の方へ入って行ってしまった。

どこを、どう辿ったのかまるで夢中でサン・フロランタンの「旅館・金の鶏」というのにころげこんだのは九時近く。二人は九死一生の思い。――食卓をへだてて顔を見合せながら、たがいの無事を祝っていると、さっきの男が鬱金色の前掛けを胸から掛けて、スウプの鉢を持ち出して来た。コン吉は、

「や、また来た!」といって立ちあがろうとすると、男は卓の上へ鉢を置きながら、

「日本人ってのは野蛮で勇気がある、ってことを聴いていたが、あなたの臆病なのには驚いた。