Japanische Klassiker mit Furigana
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.011 Zeichen · 23 Bildschirme
では、どうぞ、これでお引き取り下され」といって扉をあけて戸外を指した。
コン吉とタヌは、かねて覚悟はしていたものの、あまりのことの次第に驚きあきれ、しばらくは言葉もなく、林の中をよろめき歩いていたが、
「あゝあ、これでギリギリ結着というところだ。今度という今度は助かるまい。それともタヌ君、どうせやられるものなら、一つ死んだ気で逃げ廻ってみようか!」と、いうと、タヌは首を振って、
「いや、それは無駄よ。たとえ世界中逃げ廻ったって、いずれやられるに違いないのよ。そんなら逃げ廻って苦しむだけ無駄ね」
コン吉は天を仰いで長大息し、
「いや、そうと決まれば僕も日本男子だ。もう、じたばたするものか! 撃つのか突くのか、なんとでも勝手にするがいい、立派にやられてみせてやろう!」
あとは互いに手をとり、感慨無量に瞳を見合わすばかり。
九、亡者潔癖にして己が墓の草むしり。清潔な下着に着換え、讃美歌を唄いながら、今か今かと待っていたが、その夜は庭を歩き廻る足音ばかりで格別のこともなかった。ああ、思いがけなく一日だけ助かったのか、それではせめて息のあるうちに、自分等が手にかけたコルシカ人の墓参りでもしようと、道ばたの野の花を集めて花束を作り、墓地にゆくと、そのはずれにま新しい一本の木の十字架。