Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ノンシャランどうちゅうき

ノンシャラン道中記

久生 十蘭

Lesen Sie ノンシャラン道中記 (ノンシャランどうちゅうき) von 久生 十蘭 (ひさおじゅうらん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.520 Zeichen · 13 Bildschirme

Aozora Bunko

御者台にはゆであげたように赤い色をした背の低い男……というよりは一種の脂肪の塊りと、お河童頭の、妙齢十八九歳ばかりとも見える Made in Japan のお嬢さんが坐っていて、御者の唄う歌に調せて手拍子を打っているのである。御者は大きな麦わら帽子を揺すりながら、こんなふうに陽気な唄を歌っているのである。

パタション・パタポン

俺の内儀さん

また逃げ出した

どこへ行ったか

わからない。……

すると、響が物に応じるように小屋馬車の中からは、そのたびに、

「うわアい、歌をやめてくれえ、足が痛い、ちぎれそうだ」とわめく声がもれて来るのだ。そこで、試みに窓から中をのぞいて見ると、こじんまりと作られた寝台の上には、身体中を繃帯でぐるぐる巻きにされた、コントラ・バスの研究生、狐のコン吉が、繩のようになってたぐまっている、その枕もとには、水槽の水から首だけをつん出した一羽のペンギン鳥が、キョトンとして天井を見あげていた。

そもそもかく成り果てた顛末を申し述べると、この男女二人の東洋人は、せんぱん、地球引力の逆理を応用して、奇抜なるアルプス登山を企てたが、不幸にして突風の襲うところとなり、クウルマイエールの谷間に墜落、ヒカゲノカツラの中で呻吟中、これなる無宿衆バルトリ君ならびに同山の神氏に救助され、いまやモントラシェの町立病院に